No.397への返信

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  • (子ジョセフと眼鏡ザーギン)hot chocolate

    バレンタインデーに間に合わなかった私。
    まだまだほんわかでういういしい子と眼鏡を置いていきますよ。
    =================================================

     大学での講義がずいぶんと長引き、自分の部屋に戻ったころには、もう日付が変わっていた。もう眠っているだろう小さな同居人を起こさぬように、そっとドアを開ける。寝室を静かに通りぬけキッチンに向かうと、そこから小さな灯りが漏れていた。
    「…おかえりなさい」
    寝ぼけたような声で、同居人が迎える。その手には、マグカップが握られていた。
    「ただいま、ジョセフ。どうしたの?」
    「うん、ちょっと喉が渇いて…」
     水を飲もうとしていたようだ。確かに寒い夜は暖房をつけっ放しにしていくから、空気が乾くし喉も渇くだろう。部屋は程よく暖かくなっている。ザーギンはコートにかかった雪を払い、テーブルへ置いた。
    「生水は…あんまりよくないよ?」
    「…平気だよ」
    にっこりと笑う、ジョセフの頭に手を置く。確かに今までは平気で水道水を飲んでいたらしい、そんなことにはもう何度もザーギンは驚いて、そして慣れていた。
    「ちょっと、待って。美味しいものを作ってあげる。僕のと君の、ふたり分」
     備え付けになっている小さめの冷蔵庫から、牛乳とチョコレート、それから戸棚からココアパウダーと砂糖を出す。チュロスやベーグルの買い置きがないのが、少し残念だ。夕食をとる間もなかった、ザーギンの腹の虫はさっきからずっと空腹を訴えているので。
    「ジョセフも手伝ってくれる?」
    コクリと頷いたジョセフの手のマグカップをとると、その半分に牛乳をいれる。そこへチョコレートをナイフで削って入れる、ジョセフに渡すと楽しそうにチョコを削ってくれた。
    「うん、もういいかな」
    後は電子レンジで熱くしてチョコレートを溶かすだけだ。ココアと砂糖は後からちょっとだけ入れる。ジョセフの分は少し多めにして甘く。
     出来上がった茶色の液体をジョセフは不思議そうに見ていた。甘い匂いがキッチンへ溢れる。普通の子供ならみんな知っている美味しい飲み物を、やっぱり彼は知らなかった。
    「飲んでごらん、暖かいし、甘いよ」
    イスへ腰掛けるように、ジョセフの背中を押して、ザーギンも席へつく。一人用の部屋だけれど、二人用のダイニングセットが備えてある。少し古いけれど広いザーギンの部屋は、彼の実家が持っているアパートメントのひとつだった。
    「まだ熱いかな?」
    「…あ、あまい」
    恐々と口をつけたジョセフから、感嘆の声が上がる。ザーギンもゆっくりとカップへ口をつけた。甘さが空腹と疲れを癒してくれる。そして目の前にはまるでチョコレートみたいにとろけてしまいそうな、子供の笑顔があった。
    「ホットチョコレートって言うんだ」
    頬杖をついて、ジョセフが飲み終わる様子を見ていると、だんだんと眠くなっていく。早く服と靴だけは脱いでしまわなくてはと、思うが瞼がやたらと重たい。
    「どうしたの?」
    何度か、ジョセフの声を聞いた。その声も甘く脳内へと溶けていく。



     目覚ましの音に驚いて、体を起こすとそこは自分のベッドだった。昨夜の記憶がキッチンで途切れている。着ていた服は綺麗にハンガーへとかけられて、靴はベッドの脇にそろえて置かれている。そしてザーギンは下着姿だった。きっとあの後、ジョセフがここまで運んできてくれたのだろう。
     ジョセフの姿を探す、そしてキッチンで見つけた。甘い匂いがそこに満ちていて、窓からは眩しい朝の光が差している。
    「おはよう、ザーギン」
    少し驚いた、けれど。ジョセフはすごく頭のよい子なのだ。昨日のザーギンの手順をもう覚えてしまったのだろう。
    「うん、おはよう」
     その甘い香りは、祝福に満ちている。ザーギンはテーブルに着いた。朝のうちに買って来たという焼きたてのベーグルと、マグカップには二人分のホットチョコレート。カップに口をつけると、子供用の甘い甘いチョコレートの味が広がった。

    [397] hanage3 (2009/02/15 Sun 02:36)


    Re: (子ジョセフと眼鏡ザーギン)hot chocolate

    なんという初々しいほのぼのカップル。
    思えば彼らにとってはこの頃が一番幸せだったんだろうなと思うと(つД`)
    ごちそうさまでしたー。

    [398] wald (2009/02/15 Sun 13:31)


    Re^2: (子ジョセフと眼鏡ザーギン)hot chocolate

    眼鏡ザーギンをベッドへ運び、服を脱がせる子ジョセフ…
    私の脳内では、攻な子ジョセフが絶賛展開中です!

    ごちそうさま〜

    [399] G779 (2009/02/15 Sun 19:39)


    Re^3: (子ジョセフと眼鏡ザーギン)hot chocolate

    waldさん
    そうさの。あのパン事件さえなければ…。゜(゜´Д`゜)゜。
    ザーギンも重度の中二病にならなかったに違いないですよ。

    G779さん
    あのまま何事もなく子ジョセフが育ち、眼鏡ザーギンがヘタレのままだったら、
    ジョセフ攻めもアリだと、実は私も思ってました。わ〜い。

    気づいてくれてありがとうさんです。
    また、投稿でここがにぎわうといいなという願いもこめて。

    [400] hanage3 (2009/02/15 Sun 22:14)


    (*´ー`)

    チョコ削りつつ器用にマリア像を造るのでね。

    新妻というか幼妻というか……かわいいなぁ。

    [401] 九郎 (2009/02/15 Sun 22:18)


    (ノ∀`*)はわわ〜

    九郎さん
    …幼な妻。字を見ただけで萌えられる自分がいます。
    眼鏡ザーギンは、いつまでも子供味のホットチョコレートを苦笑いしながら飲むがいいよ。

    [402] hanage3 (2009/02/15 Sun 23:34)