No.18への返信

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  • (銀×黒)美しく堕ちる、その日まで(夢オチ)

    皮膚の下を無数の虫が這い回る感覚、錆びた鉄の味、焼け付くような喉の痛み、染み付いた血の匂い。すべてが誘惑するように甘い。口元に滴った彼の血の、すべての始まりの記憶。
     
     これは悪夢だとジョセフは、言い聞かせた。せめて体のどこかに痛みが残っていたら、少なくとも今よりも自分を保ち続けることができたのだが。頭の中ははっきりしているのに体は、指先ひとつ動かない。声をあげることもできない。何かにのっとられてしまったように、あるいはすでにのっとられてしまっているのかもしれない。かつての姿を失ってしまった。かつて人間だったが、今はもう違うものになってしまった。
     耳元で名前を呼ぶ、懐かしくやさしい声、体を這う指は冷たく心地よい。彼の手は大きく、指は白くまっすぐで細い、労働を強いられずに子供のころを過ごした裕福な大人の手だった。どんなものからも穢されていないと思ったこともある。けれど今は心地よいと感じてしまうことが恐ろしい。
    「なぜかな…きみは」
    昔の彼はいつも穏やかな目と柔らかな声だった、けれど今は、整った顔にどこか苛立ちの影が差し瞳には鋭い光が宿る。
    「…いつも自分を偽る」
    彼の指はいつもそれを暴きだす。人間が動物と同じものである証拠の欲求、ただし人間に本来の意味は薄く、それはほとんどが自分に与える快楽という欲望にすり替えられて在る。
    …違う。
    …いや、違わない。
    「けれど、無駄だよ」
    声を上げることはできない。だから彼にジョセフの意思は伝わることがないのだが、そんなことはどうでもよいのかもしれない。彼の白い指の先から不自然に尖った爪が伸びて、ジョセフの着衣を破った。すでに上半身には引き裂かれた布が頼りなげに張り付いているだけ、そして一瞬で下半身も同じものとした。
    「ほら、もうきみの欲望を隠すものはない」
    …やめてくれ。
    伝わらないとわかっていても抵抗する。
    彼の言う欲望を知っている。自分の状態が今どうなっているかなど、言われなくともわかっている。浅ましく性器を勃てているのだろう。この欲望は隠しておかなくてはいけないものなのだ。もうひとつの欲望と同じ。
    「愚かしい。が、嫌ではないよ」
    …やめてくれ。
    彼の爪は皮膚まで引き裂き、ところどころに赤く細い筋をつける。
    痛みはない。
    痒い。
    自分の手を動けば、傷をかきむしってしまいたいくらいだ。
    「そうやって耐えている顔は…いい」
    変わってしまった。彼は姿だけでなく、気高くいた精神も。けれどもまた本当にすべてが変わってしまったことを信じがたかった。ジョセフに痛みを感じる心が残っているようにどこかにまだ昔の彼が残っているのだと信じたかった。けれど無慈悲な目は、ジョセフの顔をからかうように見つめ、唇に指を這わす。
    「…とても愚かしいが、殉教者のようでもある」
    そのまま指は口の中に侵入し、ジョセフにそれを舐めるように命じた。唾液に濡れた指が唇から離れると、首筋へ、胸へ、へそへ、さらにその下を辿る。
    「きみは…どちらを望む。支配か恭順か」
    …やめてくれ。
    床に体を押し付けられた感覚、彼は簡単に触れてくるのに、ジョセフは彼を押し退けることもできない。勃ちあがった欲望の先端を突かれ、今度はその奥を探られる。
    「…きみに選ばせてあげようか」
    彼の手で行われる自涜、穢れてしまうと思った。自分ではなく、彼が。しかし体のほうはまったく自制することができない。暴力と同じ、一度その抑制をなくしてしまえば後はもうなし崩しだ。
    「どちらも同じだ。きみも知っているように」
    不意をついて強い刺激にさらされる。
    「……うっ……ぁぁ…」
    声が漏れていた。首を絞められているかのように感じていた重さが、そのときだけ故意になくなったのだ。堕ちてしまえと言うのだ。彼が。
    「…いつまで耐えているんだろうね。きみは」
    ジョセフの欲望を握りこんだ彼の手が、先から溢れ出した粘液に汚れていた。これ以上触れられたら、もっとひどく汚してしまう。ジョセフは自涜さえあまり積極的に行うほうではなかったが、最後にはどうなるかくらいはわかっている。けれどこのまま堰を切ったように欲望を溢れさせてしまうことを、もう止めることができない。
    「だめだ、もうやめてくれ」
    「そんなのを聞きたくて、声を戻してあげたわけではないよ」
    粘液に濡れる指が、まだ透明な液体を零し続ける先端に爪を立てた。
    「……ぁっ……ぅっっ」
    「…そう…なぜいつも偽りつづけるのか」
    「…あぁっ……っ」
    吹きあげるようにたくさんの白濁した粘液が先端から溢れ、彼の手を穢していくのを小さくあえぎながら見ていた。なぜ、なぜこんな欲望があるのだろう。そう思うと不意に悲しくなった。彼のことを純粋に好きでいられた昔には、もう戻ることを許されないのだ。もう誰もそんなことを望んでいないのだ。
    「…素直に堕ちてしまえばいいもの」
    ねっとりと彼の手に残る粘液が、欲望から離れてジョセフの足に落ちた。
    「きみの欲望は、はしたないくらいに、濃い」

    「うなされていたわよ、また」
    ガルムからエレアが呼んでいた。
    「また泣いていたのね?美しくないわ」
    その声は少々飽きれている様子だった。泣いていたの?と言われジョセフは頬が少し濡れているのに気がつく。他は大丈夫だろうか。あまりに生々しい悪夢だった。
    「心配しないで、大丈夫よ」
    確かに夢だったが、なんでそんなことを言うのだろうかと思った。
    「私は待っているの。あなたが美しく堕ちるその日を」
    小さく小さくエレアの呟く声を聞いた。

    [18] hanage3 (2008/08/17 Sun 03:10)


    Re: (銀×黒)美しく堕ちる、その日まで(夢オチ

    すみません。中2病全開テキストですが、迷いつつ投稿させて頂きました。
    ポチっとしたら、すぐに反映されたので、改行などちょっと読みづらいかもしれません。

    投稿って緊張しますねぇ。

    [19] hanage3 (2008/08/17 Sun 03:20)


    エレア…!!

    はじめまして!銀×黒読ませていただきました。
    銀の鬼攻めっぷりにキュンキュンしてたら最後のエレアの一言に全部持っていかれました。

    原作の方でもジョセフが美しくなるのを凄く待ち望んでそうですよね。

    私的には全然読みづらくなかったですよぅ。

    これからも是非是非よろしくですー。

    [20] 柳生 (2008/08/17 Sun 16:31)


    ありがとうございます。

    感想頂けてうれしいです。
    エレアでオチにしたので、その辺り問題ありかもしれないと思ってました。大丈夫でしょうか。

    本スレは鯖規制で書き込みできず…ずっとROMってました。
    AT-X視聴組なので、本編は1週遅れです。

    [21] hanage3 (2008/08/17 Sun 17:08)


    耽美っ!

    すごいです…っ!自分にはこういう表現が出来ないので勉強させてもらいます。
    文体からエロスを感じます。
    自分は銀さまが好きなので、耽美を感じさせる銀様が拝めて嬉しかったです。

    で。
    夢オチ以外の作品も当然投下してくださいますよね?

    [22] 636/マシュー (2008/08/17 Sun 19:19)


    Re^5: うをっ

    エロす…………
    銀様のセリフ、諏訪部っちの声で変換して読んでしまいましたがなw

    そして、エレア……最終的なエロ大魔神はこいつか!

    小犬な少年ジョセフと、まだ堕ちてないころの銀様のもんもん話も読みたいですよ。

    [23] イーゴ (2008/08/17 Sun 19:44)


    エレアがいた方が

    自分は原作の性格や雰囲気が反映されてある方が好物なので、全然いいと思いますよ!
    寧ろエレアが出てきたことでますますらしさが出ててv

    ジョセフの葛藤振りと銀様の言い回しがステキですよう!

    今までロムされていたんですね。
    ロム&文字専でも構いませんのでよかったら絵茶遊びに来てくださいませー!

    でわ。

    [24] 柳生 (2008/08/17 Sun 19:45)


    いい!

    ありがとうございます!>hanage3さん

    >「そうやって耐えている顔は…いい」
    思いっきり同意してしまいました。
    素敵なセリフですね。

    [29] null (2008/08/17 Sun 22:03)