No.104への返信

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  • (銀黒×赤+黄 注:4P)美しい結末(if結末)

    赤監禁祭りの会場はここですか?
    え?もしやSS板、銀様祭りなの?
    …ええと、これはBADENDネタです。
    もし、もしも、ザーギン様の野望が叶っちゃったら編。

    乱交ものなのでイヤな人は全力で回避してくださいませ。

    「美しい結末」

     これが世界の望んだひとつの結末だった。
    見放されたのか、見捨てられたのか、かつては楽園だった。けれど今も同じくして楽園か。ただ支配者が変わっただけ、配役が変わっただけであって、その実は瑣末なことなのかもしれない。かつて我々の住んでいた世界は失われたのだ。
     新しい支配者は、居所に2人の隷属を置いた。人の姿を保ったまま悪魔となった若い男達、最後の最後まで支配を拒み続けた彼らを掌中に収めたとき、支配者は残酷な運命を二人に与えた。生き永らえること。彼らはなにもかも失った世界で、その姿のまま生き続けなけらばならい。無力であったことを、愚かであったことを、守ることのできなかったことを、死ぬことさえできなかったことを、ずっとその身に抱えながら、永遠の時間を悔恨の中で生きるのだ。
    「宴の用意を」
    この地の新たな支配者であるザーギンは、古い隷属である侍女に伝えた。信奉者である彼女は、うやうやしく礼をする。
    「僕は二人がうらやましいな、ザーギン様、あの二人ばかりにご褒美を与えてはだめ」
    悪夢から覚めた少年もまた彼の作り上げた世界に心酔していた。なにもない世界、ただひたすらに争い、お互いをむさぼりあう、すべてにおいて平等に残酷な世界を。
    女と少年は、隷属である男達のように牢に閉じ込められているわけではない。居所を出ることも入ることも自由である。外の世界に出て欲望の赴くまま、殺戮にあけくれこともよし。しかし、かつて世界で幸せでなかった彼らは、支配者のもとから離れることはなかった。
    「ベアトリス、彼らの中に蟲を仕込んでおいで」
    優雅なしぐさで自らの指にペーパーナイフを当てる。白い指に一筋の赤い線が引かれ、その線はやがて粒となり、名前を呼ばれた女の手のひらに転がった。
    「かしこまりました」
    「口からではなく、直接腹へ入れてあげなさい」
    優しい微笑みを浮かべ、ザーギンは宴の席へと少年をいざなった。
    「蟲ってなに、あれはあなたの血ではないの」
    「…見ていればわかるよ、腹の中で解けて…おぞましい欲望を暴きだす蟲だ。まあ本当に清らかであれば、浅ましいことにはならぬが、ね」
    少年はクスクスを笑った。彼らが清らかでないことを知っている。いつかの宴の狂乱を、かつて綺麗事を並べ立てた口からは、想像もつかないほどのいやらしい言葉を発し、馬のものかと思うほどにはしたなく膨らんだ欲望は、声を漏らすたびに大きく震えた。
    「1時間ほどで蟲が目覚める、頃合を見てこちらに連れてきておくれ」
    「はい」
    ベアトリスはひざまづいて、ザーギンの手の平に口付けた。磔刑に処せられた神の子の、聖痕のような、黒い悪魔の紋章があった。
    「よい子だね。ベアトリス」
     居所の牢は鉄格子とレンガのような無機物なものではなく、生物のような赤黒い肉の壁がそのまま、二人の隷属をからめとっているという奇妙な場所だった。ときおりずるりと蠢いて、小さな枝を彼らの体へと巻きつける。
    「お願いね」
    ベアトリスは蟲を肉の枝に巻きつけた。ぐちゅりと腐った肉のつぶれるようないやな音が、静かな部屋に響いた。肉の塊は確かに意思を持って生きている。ベアトリスの願いに答え、蟲は小さな枝から奥へと消えた。捕らわれている二人はまったく動かない。もはや抵抗をやめたのか、もしくはすでに心を失ってしまっているか、けれど1時間もしないうちに目覚めるだろう。蟲が体の中を這い回る、悪夢に。

     これは戯事、ザーギンの目の前に連れ出された二人はすでに口を吸いあい、抱き合いながら足をからませ、互いの欲望を貪っている。赤い悪魔と黒い悪魔、かつてそれはヘルマンとジョセフと呼ばれていた物、ひとりは自身の正義を貫き、もうひとりは神への信義を貫き、しかし復讐と狂気に堕ちていった。
    「牢から出すのに手間取りました。戒めを解くとこのように勝手に」ベアトリスはまったくおぞましいと吐き捨てた。
    「やあ、ジョセフ、ヘルマン」
    答えのかわりに、彼らは自分の名を聞いた瞬間に少しだけ体を強張らせた。向き合って互いの肩に頭をのせ、互いの欲望を寄せ合い指を絡ませている、そのおぞましいとベアトリスが言った言葉の通り。ゆっくりと見上げてくる眼差しには理性も意思もない。
    「蟲、楽しんでもらえたようだね」
    ただ苦しげな吐息がせわしなく漏れている。蟲は体の中を這い、入り込んだ孔の中を掻き乱し、人間をむき出しの本能しか持ち合わせていない獣へと堕とす。
    「ほんと、淫乱だ」こんなの罰じゃないと、傍らで覗く少年が言う。
    あわせた体のように性器も二人の手のひらで包み込まれ、同時に互いを刺激しあうという猥雑な姿に少年は、ゴクリと息を飲む。早くも互いの手は透明な汁が滴り濡れている。ジョセフの半開きになった口元から甘い声が漏れ始めていた。
    「ははは、一番先にいっちゃいそうだね。ジョセフ」
    欲望に狂った男達を目の当たりにして、彼らを馬鹿にしたように笑う。少年には誠実であることや潔癖であること、などすでに失われてしまった。また彼も蟲に狂って欲望の虜となったものである。ただ、目の前の二人と違うのは、自ら進んでそうなったということだろう。
    「マレク、服を脱ぎなさい。きみもまざるといい」
    赤毛の男が、その名前を聞いて顔をあげた。
    「おや、まだきみにはわかるのか」
    わずかだが、まだその瞳には抵抗の意思があった。
    「…いい目だ。ずっとそのまま痛みに耐えるといい」
    ヘルマンの顎を持ち上げて、ザーギンは自らの元へ引き寄せた。頬に触れ、瞳へと唇付ける。寄せられた眉は、彼が快楽以外の何かを感じていることを告げている。今にも罵声をあげそうになるのだろうか、ヘルマンの唇が震えていた。
    「…苦しいだろう、でも本当は嬉しい…」
    寄せ合わされた性器をマレクが、からかうように舐めあげる。すでに感じ入ってひくついている先端の部分を音を立てて交互に吸っていく、濃い欲望の匂いが立ち込める。溢れていく粘液は白く濁りはじめ、今にもはしたなく粗相をしてしまいそうだ。
    「…ぁっあっ…あっ…うぁっ」
    床についたマレクの手に粘液ではない、薄い水滴が落ちた。
    「また泣いているの。ジョセフ」呆れたとマレクが呟く。
    「それでいい…ジョセフは何もわかっていないのだからね」
    ザーギンはちらりとジョセフの顔を盗み見て満足そうに言った。愚かなジョセフ、愚かなヘルマン、諦観と抵抗、二人の姿はとても面白い。きっと根は同じなのだろうが、まったく違う反応をする。
    「ザーギン様、あの、エレア様のお茶のお時間ですが…こちらでお過ごしされるようです」
    ベアトリスが小声で告げた。いつかエレアまでもこの居所に住まうようになった。支配者となるものの元にエレアが現れる、ということなのだろう。いや、これはエレアが望んだ結果ではないか。
    「ではお茶の用意を、ベアトリス」
    「はい、私もエレア様とご一緒してよろしいでしょうか」
    くすりとベアトリスは笑った。女性同士気が合うらしく、エレアと談笑していることの多い彼女だ。
    「もちろんだよ」

    [104] hanage3 (2008/08/28 Thu 18:15)


    続き

    床がおびただしい粘液に濡れてぬめる。
    「きみの選んだものが抵抗なら、ずっと抵抗していればいい」
    いつの間にか、彼らの中に混ざった支配者が、ヘルマンの耳元に囁く。すでに何度となく欲望に敗北し、そのたびに自身の弱さを揶揄された。
    「私はきみに応えよう、ヘルマン」
    後ろから羽交い絞めをされるように貫かれる。身をよじるがそこから逃れることはできず、動くことが更なる欲望を暴きだす。貫かれた体の奥が熱くなり、もっと違う刺激を求めて勝手に下肢が揺れた。
    「っつ、ぐぁっ…はっっ」
    「もっときみに苦痛を与えることができる」
    ザーギンが目で先ほどからジョセフを責めているマレクに伝える。少年は支配者の欲望の従者となった。暴かれ、仕込まれ、けれど望んでいたことを自分自身で知った。ジョセフの偽善を暴くことはマレクの悦しみ、そしてもうすでに用意の整ったジョセフの体をザーギンへ差し出す。
    「……な、なにを」
    うっすらと開いたジョセフの唇が小さな声で不安を告げる。
    「ジョセフ、この男を壊してあげよう」
    マレクが無言のまま、勃起したそれをすでにザーギンが入り込み塞いでいる場所へと押し付けた。やっと意味することを知り、ジョセフが首を振る。
    「ずるいなぁ、二人だけだったらしようとしてたことでしょう」
    からかうようにマレクが言う。そんなところに2本も受け入れたら、本当に壊れてしまう。とジョセフはザーギンを見上げた。
    「ほら、こんなにも欲しがっているのだから、応えてあげなくては」
    「…はっ…ぁっ…」
    ヘルマンの顔が苦しそうに歪んだ。蟲、あれを入れられると、どんなことでも快楽になってしまう。そうやって何度自分を失っただろうかと、ジョセフは思った。まだ身の中に蟲がいやらしく蠢いている。
    「もうお前の役目などないのだよ、ジョセフ」
    優しい声がジョセフを撫でた。
    「…うぐぁああっぁあああっ」
    限界まで広がったそこをさらにジョセフが広げていく。小さく嫌な音がして2本の男を受け入れていたヘルマンの両端が切れた。
    「うがっ…かっ……っはっ…あっ…」
    赤い血が流れて水溜りを作る。ヘルマンは二人の男に挟まれながら、その苦痛を受け入れていた。快楽をはるかに上回る苦痛に心が救われる。痛みを感じていれば、まだこの狂った世界のなか、怒りを忘れないでいられる。
    「…ぁあ…は…」
    血にぬめるそこは、もう一人の欲望の存在を感じさせる。蠢いている男の欲望が、ジョセフを真っ暗な闇の底へ引きずり込むうような快楽を覚えさせる。背中を上る鳥肌にも似た激しい快楽に自失しそうになる。ぴちゃぴちゃと血を舐めているマレクが見える。真っ赤な唇がうっとりと支配者の名を呼ぶ。
    「ザーギン様、すばらしいです」

     まったくね。とエレアはベアトリスに囁いた。
    「わかっていないのは、あの二人だけなのです」
    困った子達なんですとベアトリスはため息をつく。
    広間の片隅にしつらえた瀟洒な椅子やソファは、この二人の観覧席である。
    「救いはだれにでもあるわ。それが分からないなんて、なんて愚かなんでしょう」
    エレア用には、ドールハウスのものの可愛らしいティーカップが使われいる。優雅に足を組みお茶を飲む女たちは、口々に2人の愚かしさについて語り合った。
     愛する人と仲間を失ってなお、憎しみゆえの怒りを保ち続けることは実はとても難しいのだ。忘れ難い記憶と思っても、時間がそれを癒していく。やがて命が終わる。それを果たして彼が望んだだろうか。と。
     そして、この変わってしまった世界をすべて自分のせいにしたい男には、その世界でいつまでも生きて絶望する罰を与える。
    「たしかに、私を含めここにいるものは、あの方によって救われているのですから」
    かつての世界は失われたが、だれにも同じく救いを。
    「ザーギンは優しいのよ、だから」
    エレアとベアトリスの見つめる先には、淫靡で美しく慈悲深いひとつの結末がある。

    [105] hanage3 (2008/08/28 Thu 18:16)


    Re^2: (銀黒×赤+黄 注:4P)美しい結末(if結末)

    エロゲー的BADENDですね。
    なんかいろいろとごめんなさい(とあやまってしまいます。思わず)

    触手はすばらしい!と思ったので登場させてみました。
    ベアトリスとマレクが飼ってるペットなんだよ〜とか。

    来週から新しい現場だからまたROM子に戻ります。

    [106] hanage3 (2008/08/28 Thu 18:20)


    素晴らしい!

    退廃的な事、救いようのない事、正にニトロゲーのバッドエンドのごとき美しさです
    ってか美しすぎます
    ちゅーかやっぱり馬並みなんですね

    [107] 640 (2008/08/28 Thu 18:33)


    Re^4: こ、これは!

    ぐっちょんぐっちょん、とゆー効果音が今にも聞こえてきそうです。
    うをーーーっっっ!!!
    ヘルマンもっと泣かせたれ!

    [108] イーゴ (2008/08/28 Thu 22:33)


    Re^5: (銀黒×赤+黄 注:4P)美しい結末(if結末)

    あとから、脱字に気がついたはなげです。orz

    640様
    ニトロのバッドエンドとは嬉しくもありがたきお言葉ですよ。
    そうです。みんな馬並みです。禁欲的な人が馬並みだったりすると!

    イーゴ様
    ぐちょぐちょです…もう私は汚れ路線で生きていきます。
    ヘルマンとジョセフとともに…妄想。

    ありがとうございました。
    ど・ん・び・き を覚悟しておりましたので、嬉しいです。
    誤字脱字、訂正しました…ああ、恥ずかしかった〜

    [109] hanage3 (2008/08/29 Fri 00:51)