【ギャグ】ホワイト・デー(改訂)

⇒登場キャラは銀・熊・馬・白・黒・赤
⇒死後設定かパラレル設定かは決めてません
⇒一応ギャグなのでキャラ崩壊注意





それは、春の嵐のような出来事だった。

いつものようにジョセフとゲルトが仲良く話しているところにヘルマンが割り込み、ジョセフに突っ掛かるヘルマンをゲルトが嗜めようとしたら、白馬に乗ったザーギンが突然現れゲルトを連れ去ってしまった。
残された二人は非常事態に一時休戦。ザーギン達の後を追い掛け居場所を突き止めた。

「ザーギン!」
「てめえ!ゲルトをどうするつもりだ!!」
「どうするって…彼はホワイトデーパーティの客人だよ」
「ホワイトデー」
「パーティだと!?」
仲良く台詞を分担するジョセフとヘルマン。
「今日はホワイトデー。訳すと白い日になるだろう?」
ホワイトデーはドイツには無いと叫ぶヘルマンを無視して話は続く。
「だから白い格好をした者“白キャラ”だけでパーティをしようと思い付いたんだ」
主催者ザーギンの話では、参加者はベアトリス、白馬ヴァイス、そしてゲルト。
確かに皆、白い格好をしている。
「君たちも白い格好をしてここにおいで。客人として喜んで歓迎するよ」
「てめえ!ゲルトさらっておいて勝手な事ぬかしてんじゃ…」
「白い格好をしてくればいいんだな」
「おい!」
相変わらず血の気の多いヘルマンとは対照的に、ジョセフはザーギンの性格を考えながら冷静に対応していく。
「ああ。ただし、君たちは元が白キャラじゃないから判定は厳しくなるけど」
姉の白衣やゲルトと揃いのジャケットという安易な逃げ道を封じる為、白衣・白ジャケットは参加者と被るから駄目だと念を押す。
「ここにいるみんなが喜んで納得する格好をしてきたら、パーティに参加させてあげるよ」
「させてあげるって…イチイチ上から物言ってんじゃ!」
「分かった。行こう、ヘルマン・ザルツァ」
「おい!何言ってんだよ!!」
「今はザーギンの言う通りにした方がいい」
「てめえの言う事なんざ聞けるか!」
聞き分けのないヘルマンに困っているジョセフを面白がりながらも、見兼ねたザーギンが助け船を出す。
「ここでいつまでも騒ぐようなら、彼に保護者としての“責任”をとってもらおうかな」
「責任?……!」
ザーギンの一言にヘルマンは、ゲルトは客であると同時に“人質”なのだとようやく気付いた。
「くそ、こうしちゃいられねー!ほら、とっとこ行くぞブ…ジョセフ!」
「え!あ、ああ…」
ヘルマンの態度が一転した事に、先程とは違う困惑を覚えるジョセフ。
「ザーギン!首を洗って待ってろよ!」
「白い格好…ザーギンが納得する白い格好…」
お約束の捨て台詞を吐きながらヘルマンはその場を離れ、ジョセフも後を追い掛けていった。


「ああ、そのケーキは切らなくていいから」
ホールのレアチーズケーキを切ろうとするベアトリスを止めるザーギン。
彼の向かいの席には、椅子に縛り付けられて身動きがとれないゲルトが座っている。
「放せ!なんでこんな事を!」
「まあ落ち着いて。一杯どうだい?白にちなんでホットミルク」
両手が使えないゲルトに、ザーギンがカップを彼の口元まで持っていく。
「いらん!」
「私が差し出したカップから飲んだ方が賢明だと思うけど…」
「どういう意味…!」
ゲルトは自分の横にいる白馬が、口から白い液体を垂らしている事に気付いた。
「ヴァイスは心優しいから、君が飢えないように口移しで食事を与えてあげるつもりなんだよ」
「ちょっと待て、口移しって…うわあああ!!」
馬の口から注がれる唾液混じりのホットミルクを浴びるゲルトをよそに、ザーギンはベアトリスに話をふった。
「ベアトリス、君はあの二人がどんな格好でここに戻って来ると思う?」
「そうですねえ…白い格好…ナース服とか」
「ナース服…白衣と若干被るからイマイチかな」
「そうですか。それなら…柔道着はいかがでしょう」
「いいね、道場破りみたいで。看板を用意しておこうか」
皿に盛ったマシュマロを摘みながら、他愛もない話に花を咲かせる。
約一名を除いて、場は和やかな空気に包まれていた。
「君はどうだい。君の二人の騎士が、どんな格好でここに現れるか」
突然話を振られた約一名は、場の空気を読まず愛想なく小声で答える。
「白ブリーフ、白アフロ、全身白塗り」
「………頭は大丈夫かい?」
白馬の“ホットミルク接待”で顔から肩まで牛乳まみれのゲルトの頭が大丈夫なわけない。
今のゲルトは、ホワイトチョコでコーティングした人参丸ごと一本を、口移しで食べさせようとする白馬に抵抗するだけで精一杯だった。
「ところでザーギン様」
可愛い愛馬の為に席を立ち、ゲルトの口を強引に開けさせながらベアトリスが話を戻す。
「ザーギン様は、二人がどのような格好で来ると予想しているのですか?」
「そうだね、ここはやはり……ん?」
「ザーギン様?」
「この音…どうやら戻ってきたみたいだね」
ザーギンの言葉にベアトリスと、人参をくわえさせられたゲルトが気付いた直後、地鳴りを響かせ二人が戻って来た。


「ザアアアアギイイイイン!!!!」
「ゲルトオオオオオオオオ!!!!」

白い扉を破壊して勢い良く現れたジョセフとヘルマン。
「誰がどう見ても“白い格好”をしてきた!」
「これなら文句は言えねーだろ!!」
二人の“白い格好”に、場にしばしの沈黙が流れる。


白のタキシードを着たジョセフと、白のウエディングドレスを着たヘルマン。



「ブヒヒーン♪」

沈黙は、白い獣の笑いによって破られた。

「うふふふふ…滑稽な姿ね」
「ジョセフ、君は何故、仮面舞踏会みたいなアイマスクをつけているんだい?」
「顔を出すのが恥ずかしいからに決まっている!」
「ちょっと待て!お前がそれで恥ずかしかったら俺はどうなる!…って、ゲルト!あんたが一番笑ってどうすんだよ!」
「ふぁふぁ、ふ、ふははひ」
人参をくわえたまま、すまないと詫びを入れるゲルト。
「大体なんで新郎新婦なんだよ!俺は背中に“絆”の刺繍が入った白の特攻服がいいって言ったのに!」
「いや、ザーギンの好みを考えるとパーティにふさわしい清らかな格好が好印象を与えると」
「じゃあ二人白タキシードでいいじゃねーか!ウェディングドレスの意味ねーだろ!!」
「はっ!言われてみれば!」
「今気付いたのかよ!って、俺も今言いながら気付いたけどな!!」
ジョセフもヘルマンも恥ずかしい格好をしている自覚があるからか、妙なハイテンションで自分の心を支えている。
そんな二人のテンパり具合にザーギンは満足したらしい。
「さすがだねジョセフ…合格だよ」
「合格!?」
「じゃあゲルトは返してくれるんだな!」
「その前に…そうだね、せっかくそんな格好をしているのだから」
先程ベアトリスが切ろうとしたホールのレアチーズケーキをジョセフとヘルマンに差出し、ザーギンは満面の笑みで言葉を続ける。
「二人にはまず、このケーキにナイフを入れてもらおうかな」

瞬間、ジョセフとヘルマンの中の何かが弾け、次の会話がトドメを刺した。

「もしかしてザーギン様、二人がこの格好で来ると予想してケーキを用意したのですか」
「ああ、そうだよ。彼らは分かりやすいからね」



バーサーカーと化したジョセフとヘルマンの最初の共同作業は“ザーギンの顔にホールケーキをぶつける”になった。

[410] 独逸超人 (2009/03/14 Sat 23:18)

[410] 【ギャグ】ホワイト・デー(改訂) 独逸超人 2009/03/14 Sat 23:18res
┗[411] ケーキ食べたい 独逸超人 2009/03/14 Sat 23:22
┗[413] ワショーイ! 綾鷹 2009/03/15 Sun 00:36
┗[414] お腹いたいお! 九郎 2009/03/15 Sun 07:30
┗[415] Re^4: 【ギャグ】ホワイト・デー hanage3 2009/03/16 Mon 14:49
┗[416] すいません、返事は後日 独逸超人 2009/03/17 Tue 01:50
┗[417] ありがとうございます 独逸超人 2009/03/21 Sat 01:22