(白赤)悪い男

「来てたのか」
「ん、なんだ、急に」
ゲルトの日常生活は、呆れるほど無神経で無頓着だ。すべての能力はレースのみにしか発揮されないかと思うほど、注意力や、周到さ、繊細さ、ヘルマンは少し呆れることもある。この邸宅だって、ハウスキーパーがいるから良いものの、ゲルト一人だったら無残な有様だろう。けれど。
「ジル…が」
シーツに残る一筋の細い糸、彼女の髪の毛。
「ああ」
「さっきまで?」
さっきまでここでゲルトと何をしていたのかは歴然だが、隣に寝る男は悪びれることなく答えた。それがどうしたと。朝にはリネン室に押し込まれるシーツ、一晩のうちなら取り替えないから、本当にさっきまでここにジルがいたことになる。
「気にならないってことは…ないな」
ヘルマンは素直に胸のうちを明かす。
「お前の勤務に合わせた結果だ」
深夜勤務が明ける朝方には、ジルを帰らせた。とそういう意味のゲルトの言葉、それもなんだかひどい話だ。
「…さすがにパーティの後には誘わないと失礼だろう」
「そうか、new year party だったか」
「面倒くさがりのお前は苦手だったな」
ゲルトの胸にヘルマンはいたずらに手を這わす。ベットのそばに小さく灯った明かりが、金色の産毛を照らしている。まあなとヘルマンは苦笑する。今もお偉いさんの相手は苦手だ。
「確かにくだらないな」
ため息交じりの声が聞こえる。レーサーも人気商売だ、実力だけではなく。スターにしかるべき素質、品位、鉄の馬に乗る騎士のように。それでいて計算高く自分を売り込むための手管、高級娼婦のリップサービス。
 ゲルトの手がヘルマンの腕を掴む。いたずらに胸の突起に指を這わせて遊んでいたことへの抗議のように、上半身だけ起こしていたヘルマンの体を引き寄せた。
「ん……」
そのまま奪われるような口付け。ヘルマンは無意識に唇を開いて、ゲルトを呼び込む。慣れた男の慣れた誘惑、ゲルトの舌が絡みつく、開いた唇の端から唾液がこぼれる。
「…あ」
「気にするなよ」
唇が離れるとすぐに差し出されるゲルトの指は、ヘルマンの歯列をなぞりゆっくりそこを開かせる。さっきまでヘルマンのアレに撒きついていた指先は、いやらしい匂いをしている。指の堅さはちょうどゲルトのアレの堅さと同じで、いつのまにかそんな行為にも夢中になった。
「ひでえな、ほんと」
些細な手管でヘルマンのそこは、また痛いほどに勃起してしまう。嫉妬したのかもしれない、それすら楽しんでいるように見える目の前の男に、ヘルマンは毛布をずらしてそこを見せ付けてやる。
「どうだ、満足か?ゲルト」
舐めるように落ちてくるゲルトの眼差し。
「ああ、ヘルマン」
どうせ等閑に抱いたんだろう。簡単に想像がつく。
「悪い男だ、自覚あるよな」
「どうかな…」
腕を伸ばせば自然と絡み合う体をお互いの腕に抱いて、それは…お前だよなと耳元で囁きあう。わざと残した女の髪の毛、嫉妬さえも甘いデザートのようで、本当に…

[386] hanage3 (2009/01/08 Thu 20:16)

[385] 姫初めだよ☆ピロートークSS☆白赤・黒銀・スナイパーズ3種 hanage3 2009/01/08 Thu 20:14res
┗[386] (白赤)悪い男 hanage3 2009/01/08 Thu 20:16
┗[387] (黒銀)清らかなる誘惑 hanage3 2009/01/08 Thu 20:19
┗[388] (スナイパーズ)状況終了 hanage3 2009/01/08 Thu 20:20
┗[389] Re^4: 姫初めだよ☆ピロートークSS☆福袋 wald 2009/01/08 Thu 22:26
┗[390] Re^5: 姫初めだよ☆ピロートークSS☆白赤・黒銀・スナイパーズ3種 hanage3 2009/01/09 Fri 00:17
┗[391] ピロートーク 九郎 2009/01/11 Sun 08:33
┗[392] Re^7: 姫初めだよ☆ピロートークSS☆白赤・黒銀・スナイパーズ3種 hanage3 2009/01/11 Sun 10:32
┗[393] Re^8: 姫初めだよ☆ピロートークSS☆白赤・黒銀・スナイパーズ3種 G779 2009/01/11 Sun 20:57
┗[394] Re^9: 姫初めだよ☆ピロートークSS☆白赤・黒銀・スナイパーズ3種 hanage3 2009/01/11 Sun 23:35
┗[395] あけましておめでとうございます(遅) はんちょ 2009/01/15 Thu 07:54
┗[396] Re^11: 姫初めだよ☆ピロートークSS☆白赤・黒銀・スナイパーズ3種 hanage3 2009/01/15 Thu 20:18