【摩周×白】ブラすれ

説明:相変わらず摩周の一人称で鬼畜。加えてなんだかアブノーマル
注意:汁登場で摩周汁、白汁要素あり?なので、苦手な人は要注意
警告:2から鬼畜変態展開に突入するので、1で危険を感じたら引き返すのが吉





今俺の家で、寝室で、困惑から言葉を失っているゲルトの気持ちは分かる。よく分かる。
「マシュー、これは…」
「悪いが、明日一日それを身につけていてくれないか」
「明日!?」
「いいだろ。明日はオフなんだし」
「い、いや、明日はちょっと…」

知ってるよ。
明日は彼女とデートの約束があるんだろ。
なんせ本人からこの前直接聞いたからな。



数日前。
彼女の邸宅に呼ばれた時は、いつもみたいに“口直し”と称したオトナの時間を楽しむ為かと思っていた。
だが邸内へ俺を招き入れたあいつは、いつもと違いご機嫌な様子だった。
この女の機嫌がよい時は、大概ろくでもない事を考えているもので。
案の定、俺は彼女からとんでもない物を手渡され、困惑から言葉を失う事態に陥った。

「ジル、これは…」
渡されたのはピンクのブラジャーらしきもの。ただしサイズが妙に大きい。
「それね、メンズブラっていって男性用のブラジャーなの。面白いから通販で買っちゃった」
「男性用…」
俺の心中を察したのか、グラスを片手にジルはケラケラ笑い出した。
「なに勘違いしてんのよ。つけるのはあなたじゃないから、それ」
ここで安心してはいけない。経験が俺に語り掛ける。
やはりというか、ジルが突拍子もない事を言いだしたのはその直後だった。

「それをね、ゲルトにつけるように仕向けてほしいの」

「………はあ?」
うっかり間抜けな声をあげてしまった。
「それもね、来週の水曜日につけるようにしてほしいのよ」
「日時指定か」
「その日はゲルトとデートなの」
なるほど、それなら納得………出来るか!
「だったらこれをプレゼントにして自分で頼めばいいだろ。一応アイツの恋人なんだし」
「バッカじゃないの!私がこんなのつけてほしいなんて言ったら、変な女だと思われちゃうでしょ!!」
確かに。いくらゲルトでも恋人からのプレゼントがブラジャーだったら普通に心が後ずさるだろう。
アイツは天然で他人の気持ちには鈍感だが、思考自体は常識人そのものだからな。
ゲルトの前では“理想の恋人”を演じ続けているからこそ、少しのイメージダウンが致命傷になりかねないわけだ。
「貴方ならマネージャーの立場を利用して、大胸筋矯正サポーターとかもっともらしい嘘でゲルトを言い包められるわよね」
いや、無理。それは無理。
「それにね」
「それに?」
「私が見たいのはブラジャーをつけてるゲルトの変な姿じゃなくて、ブラジャーをつけてるのがバレたらどうしようとビクビクしながら、それでも冷静を装うゲルトなんだもん☆」

歪んでる。
この女、根性がヘアピンカーブだ!

「ねえマシュー、私のおねがい♪聞いてくれるわよね…」
上目遣いで唇をすぼめ、もじもじするように相手を見つめる仕草。
いつもはゲルトに使っている“可愛い女の媚顔”まで俺に使ってきやがった。
「…分かったよ」
なんだかんだでジルの頼みは断れない。
断ったら後で何されるか分かったもんじゃないからな。
「嬉しい!じゃあこれ、ブラとお揃いの男性用ショーツも一緒にお願いね」
「ゲーッ!」



それから俺は、数日間考えを廻らせ、準備万端で今日のこの日を迎える事となった。
「そもそも、なぜこんな物を…」
相変わらずゲルトは眉間に皺を寄せ、渋い顔をし続けている。
そろそろ作戦を開始した方がよさそうだ。
「こんな物って言うなよ。それでタイム縮められるかもしれないのに」
「えっ」
嘘をつく時は出来るだけ嘘を言わない方がいい。
矛盾しているが実際その方が効果があるのだから仕方ない。
「見た目は問題あるが、正しく身につけると姿勢がよくなるし、胸部を保護することでリラックス効果もあるらしい」
「…本当なのか」
「さしずめ大胸筋矯正サポーターと言ったところだな」
結局この言い回しを使ってしまった。悔しい。
「人から聞いた話だから確証はないけど、試してみる価値はあると思うんだ…どうだ?」
「まあ試すだけなら…だが、だからといって明日というのは…」
「いきなり実戦で試すよりは日常生活で様子をみた方がいいだろうし、試すなら早い方がいいだろ」
ゲルトが頷く。もう一押しだ。
「心配するな。夏ならともかく、今の時期なら厚着で滅多な事ではバレないだろうからな」
「ま、まあ…」
よし、ここまでくれば大丈夫だ。バイクが絡まないと本当、状況に流されやすいなこいつは。
「それじゃ、俺はシャワー浴びてくるから。その間にそれ、ちゃんと着ておけよ」
「え!」
「着替えてるところ、見られたくないだろ」
「そうじゃなくて、なぜ今ここで…」
「後でちゃんとつけれてるかチェックしてやるから、服は着ないで待ってろよ、いいな」
「えっ!!ま、マシュー、それはちょっ…」
「心配するなって。暖房の温度を上げておいてやるから…これなら寒くないだろ」
「いや、違う、そういう事じゃなくて心の準備……マシュー!」


バスルームへ向かう今の俺は、心から懺悔せずにはいられなかった。
「すまない、ジル」
お前を歪んでいると、根性が曲がっていると、心の中で罵ったのは間違いだった。
確かに、ビクビクしているゲルトを相手にするのは面白い。最高だ。
「俺も歪んでるな…」
彼女にはもう一つ懺悔したい事があるが、それは部屋に戻ってからにしよう。

懺悔の罪はまだ、始まってすらいないのだから。

[375] 独逸超人 (2008/12/24 Wed 00:07)

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┗[382] Re^4: 【摩周×白】ブラすれ G779 2008/12/27 Sat 22:27
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┗[384] コメントありがとうございます 独逸超人 2008/12/31 Wed 02:11