※時系列無視のパラレル。白総受けというか総当たり?
※登場するのは赤・黄・黒+α。
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ヘルマンが家に来た。
「ゲルトーッ!お菓子くれなきゃイタズラするぜーっ!!」
フード付きの黒い衣を身にまとい、長い鎌を持った死神の格好をしていた。
間の抜けたドクロの面が気になるが、本人曰くアメリカのカートゥーンアニメのキャラを模したものらしい。
なんだかよく分からないが、ハロウィンの慣習通り菓子をやった。
「ゲルトがお菓子を持ってるなんて…ちくしょー!(イタズラしたかったぜ!!)」
ヘルマンは泣きながら走り去っていった。
もしかして、この菓子が気に入らなかったのだろうか。
マレクが家に来た。
「えっと…ガオー!お菓子くれなきゃイタズラしちゃうぞ!…なんて」
マレクは狼男の格好なのか、犬っぽい耳と手足と尻尾をつけ、南瓜のランタンを手にしていた。
恥ずかしそうにしている姿を可愛いと思いながら菓子をあげようとしたら、サインを入れてほしいと頼まれたので、袋にペンでサインを入れてあげた。
「ありがとうございます。…もったいなくて食べられないかも(あっ、中身だけ食べて袋をとっておけばいいのか)」
マレクは丁寧に挨拶した後、何か呟きながら帰っていった。
その際、食べられないと聞こえた気がしたが…この菓子は嫌いなのだろうか。
ジョセフが家の前に立っていた。
「ゲルト・フレンツェン…」
ジョセフの格好はいつもと全く変わらなかった。
しかし後ろで何か言っている少女(遠近法で小さく見える)は悪魔のような仮装をしているので、おそらくハロウィンの挨拶に来たのだろう。
後ろの少女の分も含め、ジョセフにお菓子を二人分渡した。
「………フランツ………(全部俺が悪いんだーっ!!)」
「ちょっとジョセフ!(過去に囚われすぎるのは美しくなくてよ!)」
ジョセフはその場で菓子の袋を開けて一口食べた後、哀しそうな瞳でバイクに乗り、少女と共に去っていった。
涙目になる程この菓子は不味かったのか。
普段菓子なんて食べないから、ハロウィン用に通りすがりの手作り菓子の店で適当に買ってきたのだが。
そんなに美味しくないのだろうか。
俺が知らないだけで、実は評判の悪い店だったのだろうか。
自分で食べるつもりはなかったが、気になったので残った菓子を一つ食べてみた。
「うまい!」
普通に美味しいじゃないか。お腹一杯食べるのは無理な甘さだが、ちょっとつまむ分には十分いける。
なのにどうして皆、あんなに嫌がったのだろう…?
知らない間におばけがやってきてイタズラをされたような、おかしな夜だった。
[352] 独逸超人 (2008/11/01 Sat 02:36)