そしてザーギンは僕の中に突っ込んだ逸物を引き抜くと、深々と一気に突き入れてきた。痛い痛い痛い! 内臓を容赦なく引きちぎられて、お腹の中を引っかき回されてるみたいだ。
「あ、う、あ、あ、あ、あっ」
あまりの痛さに、僕はなりふり構わぬ悲鳴を上げ続けた。ザーギンはそんな僕の痛がる様をじっと見ている。自分が絶対的な強者となって、弱者を貪り喰らうことへの快感を覚えている目だ。
「君がこんなに辛い目に遭っているというのに、あの男は、ジョセフはまだ寝ているつもりなんだろうかね」
憐れむような目で僕を見下ろしながら、奴が呟いた。何だって?
「君だけじゃない、世界が終わろうとしているというのに、彼にとってはそれすらどうでもいいんだろうね。それとも、世界が終わるまで寝ているつもりなのかな」
その一言で、僕の中に静かな怒りがふつふつとわき上がってきた。こんな奴に、ジョセフを貶められるのは許せない。
「ジョセフは……そんなんじゃない」
身を裂かれる痛みと、わき上がる怒りで目の前が霞みかけながらも、僕は叫んだ。
「あんたみたいな、何もかも諦めて、ヤケッパチになってるだけの弱虫とは違う!」
その途端、ザーギンのあのニヤニヤ笑いがふっと消えた。何だか不穏な気配がする。これは不味いかも。
「なにが違うというのかな。僕と、あの寝ているだけの彼とは」
「あぐうっ!」
そして深々と抉るように激しく貫かれた。新しい痛みに思わず絶叫してしまう。
「どうやら君は、まだ自分の立場が分かっていないようだ。いいだろう。その減らず口が大人しくなり、泣き叫んで許しを乞うまで、犯し続けてやろう」
死刑の宣告のような声で、奴が宣言した。だがそれは、裏を返せば僕が死なない限り、こいつをここに足止めできるって事だ。あとは、この身体の持つ限り、それこそ『股ぐらにぶちこんだザーメンが耳から出てくるまで』犯されてやればいい。
あいつが再び、腰をぶっつけ始めてきた。さっきよりずっと激しい勢いで。
「うううーっ、あぐぅぅぅぅ…っ」
抑えきれないうめき声を上げながら、僕は融合体の身体になった事を今一度ありがたいと思った。少なくとも人間の身体の時より長くは持つだろうし、上手く行けばイシスの完成に間に合うかもしれない。
あいつの腰の動きが速くなってきた。早く終われ、早く終われ、早くイっちまえ。一度出したからって終わるはずが無いのは、嫌というほどよく分かってる。でも、今の僕にはそう念じて堪えるだけで、精一杯だった。
「……っく、出すぞ……っ」
「あああっ!」
奴の逸物が僕の中でどくりと脈打った。お腹の中に熱いザーメンが注ぎ込まれるのを感じながら、僕は考えていた。僕の身体はあとどのぐらい、この生き地獄に耐えられるんだろうか。僕が生きている間に、イシスは間に合うんだろうかと。
それから僕は、随分と長い間、ザーギンに犯されっぱなしだった。
さっきからもう、どのぐらい中出しされてるんだろうか。僕が女の子だったら妊娠しててもおかしくないところだ。
ザーギンは相変わらず僕の体を貪るように貫いている。だけどなんだかその顔に、戸惑いのようなものが浮かんでいるように見える。
黙って犯され続けるのも飽きてきた。そろそろ反撃してやる頃合いかもしれない。
「何で僕が平気なのか、分からないって顔してるね。やっぱりあんたは弱虫だ」
苦しい息の合間に、そう呟いてやったら、奴がぴたりと動きを止めてこちらを見た。最初の反撃は成功だ。
「何だと…!?」
奴も流石に疲れてきたのか奴も息が上がっている。僕を見る眼差しからも余裕の色が消えている。
「平気なわけないじゃない。怖いし、すごく痛いよ。死んだ方がマシってぐらい苦しいよ」
そう言いながら僕は、追い討ちをかけるように自分の中に入ってるザーギンのブツを思いっきり締め付けてやった。本当は『続・殺戮のジャンゴ』でブロンディがやったみたいにそのまま握り潰してやりたかったけど、流石にそれは無理だ。けど、痛めつける効果は覿面だったようで、あいつは痛そうに顔をしかめている。いい気味だ。
「でも僕はその痛みから逃げるわけにはいかないんだ。だって、ここで死んじゃったら罪を償うことができなくなるからね」
正直、今までずっと耐えるばっかりだったところから反撃に移るのは、胸のすくような気持ちだった。復讐は良くないことだって知ってるけど、なんだかんだ言っても気持ちのいいものだというのもまた、認めるしかないみたいだ。ただし、やり方を間違えたり、やりすぎたりすると、こっちもその報いを受けることになるけど。
「だから僕は、生き地獄をのたうち回ることを選んだ。守りたい人達がいるからね。そのためなら、どんな苦しみであろうと、耐えてみせるさ」
「黙れ」
ザーギンが怖い顔で僕を睨みつけて、硬い声で警告してくる。だけど僕の口は止まらない。
「あんたに僕は壊せない。僕の犯した罪は、この程度の痛みと苦しみじゃ、到底償いきれるものじゃないんだ。罪も痛みも、正面から見据えることも受け入れることもできない、あんたごときの与える痛みじゃ、僕を壊すことなんかできない……!」
「黙れと言っている」
奴が片手を伸ばして、僕の首を絞めてきた。ああ、ちょっとやりすぎて怒らせちゃったかな。だけど今、ここで引き下がったら、その時こそおしまいだ。死ぬしかない。苦しい息の下、僕は言葉を吐き出し続ける。
「あん…たは、ぼく…が…怖いん…だろう…。だから、こうでも…しないと…」
「それ以上減らず口を叩くと、愚かな世迷い言を発する、その生意気な声帯ごと喉を握りつぶす」
首を絞める手に力が加わった。目の前が霞みかける。流石にこれはちょっと不味いかも。
ありったけの力を総動員して、自分の首を絞める奴の手を引きはがそうとする。当然ながら奴の力は強く、引きはがすのは到底無理だけど、ほんのちょっとだけ緩める事には成功した。そのチャンスを逃さず、すかさず止めの一言をお見舞いする。
「バカなのは……あんたの方だよっ」
「何…?」
僕の喉を締めるザーギンの手が緩んだ。そこに更なる追い打ちをかけるように、一息に追撃の言葉を浴びせかける。
「僕じゃあんたを倒すことはできないし、それどころか傷一つ負わせることだってできやしない。それぐらい分かってるさ。僕は弱いからね。でも、足止めすることならできる……!」
奴が黙ったまま僕の首から手を離し、尻の穴から逸物を引き抜いた。広がったお尻の穴から、散々中出しされた奴の精液が、だらだらと流れ出て行くのを感じる。このまま戻らなかったらどうしようかと少し心配になった。
「あんたを倒す為の切り札が揃うまでの、それまでの時間稼ぎなら、僕にだって出来るんだ……」
「君は……最初からそのつもりで」
奴もようやく気付いたみたいだ。でももう遅いよ。それにどうやら、僕の時間稼ぎは功を奏したみたいだ。
「アマンダやヘルマン、サーシャさん達、そしてジョセフが受けた痛みに比べたら、僕のこの痛みなんて、どうってことはないよ…。あんたが僕を倒したら、前と同じようにするだろうって、思ったんだ。そしたら思った通り、あんたは見事に挑発に乗ってくれた……」
震える手を何とか持ち上げて、僕は空の彼方を指差した。奴が立ち上がって僕の指差した方向を見る。僕の指差した先の空には、こちらに向かって近づいてくる何かがあった。普通の人ならとても見えるような距離じゃなかっただろうけど、僕にはそれが空飛ぶバイクであることと、それに乗っているのが僕が今まで待ちわびていた人、ジョセフだって事がはっきりと見えた。
「見なよ、どうやら最後の切り札が揃ったみたいだ。この勝負、僕の…僕達の…勝ちだ……」
身体全体が重い。特に下半身は酷く痺れていて、自分の身体じゃないみたいだ。尻の穴は痛みを通り越して感覚がなくなるほど痺れてじんじんしてるのに、まだ中で奴のペニスが暴れまわってるような気がする。
でも僕の心はとても晴れ晴れとしていた。ザーギンの足止めという、自分の為すべき事をやり遂げたことと、最後まで負けずに耐えきれたという達成感でいっぱいだった。
Fin.
[250] wald (2008/09/27 Sat 17:32)