【摩周×白】夜兎戯(YOTOGI)

※摩周が鬼畜。白がアホの子。摩周は赤が嫌いで赤はひどい言われようです。
※攻め視点の一人称なので苦手な人は注意。

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今夜は満月だから。
月には兎が住むという、アジアの何処かの国の童話を思い出したから。
そんな他愛もない理由から、俺は常日頃“可愛がっている”兎を部屋に呼び出し、長い夜の暇つぶしの相手をさせた。

「ん…」
兎の名はゲルト。
“フィールドの白い風”“無敵のチャンプ”と呼ばれ、マスコミにはヒーローと持て囃されている男だが、今は俺に体の隅々を弄ばれ、鳴き声をあげるただの愛玩動物にすぎない。
あえて芸は仕込まない。ただ愛らしく尻尾を揺らしていればいい。

「マシュー…話が…あるんじゃ……」
「話なら後でもいいだろ。それともあれか?今日は彼女に会いたかったとか」
「……いや、そういうわけでは…………!!」
これ以上問い詰められたくないので、ゲルト自身をくわえて、舐め回して、強引に話を中断させる。
「彼女に会いたかった」は図星のようだが、自分が体にたっぷり“跡”をつけられた事に気付けば、今日どころか当分は彼女に手を出す事は出来ないハズだ。
ゲルトの恋人。兎のもう一人の飼い主。俺の愛人で共犯者の、あの女狐には……いや、女狐と呼ぶのは狐に失礼か。

「あ、ぁああっ!!!」
愛を語り合いながら互いを見下し合う、汚れた関係の女を思い出しながら、目の前の純白の男を汚して、吐き出させて、聞かせるようにわざとらしく舌なめずりをして……
そう、ここから既に狂い始めていたのかもしれない。



「そういえば…ヘルマンは元気にしてるか?」
いつもの遊びに刺激が欲しくて、俺たち共通の知り合いの名を出してみた。
「お前ならアイツと会う事もあるだろ」
ゲルトにとっては知り合い以上に深い存在の男。
「お前達、仲良かったからな」
四つんばいにさせられ、尻を突き出し、男の指で中をたっぷり慣らされている最中に、別の男を思い出させる。
羞恥心を煽るには最適の言葉遊び。
案の定、ゲルトは耳まで真っ赤にし手で顔を隠しながら、俺の思った通りの答えをくれた。
「最近は…全然……会えなくて………」
予想通りの反応が滑稽だったのでもう少し優しく扱ってやろうかと思ったが、予想以上に奴の名は、口にしただけで俺をムカつかせた。
そして言葉をちゃんと紡がせる為に手を緩めてやった際の、予想外の二の句。

「…今日は会えるかもと思っていたんだが、急に仕事が入ったらしい……」

俺の中で傷ついたプライドが、黒板を爪で引っ掻いたような不快な音を立てた。

「でも電話の声からして、相変わらず元気が有り余っ、って、おい、ちょっ、?!…あ、ッ!!!!」
気が付けば、ゲルトの体を強引に仰向けに引っ繰り返し、脚を限界まで開かせ、自身の昂ぶりを一気に奥まで突き入れていた。
「ぅ…ぁぁ……」
ちゃんと馴らしてやったとはいえ、いきなり根元まで飲み込まされ激しく揺さぶられては、呻く事しか出来なくて当然だ。
それでも俺の心は、あの赤い髪が似合いすぎる犬と、目の前の元・飼い主への黒い感情に支配されつつあった。

「あの駄犬…」
そう、あれは犬だ。
ゲルトを追い掛け、まとわりつく赤犬。
周りの人間すべてに愛くるしさを振りまきながら、美味そうな兎から決して目を離さない、したたかな肉食獣。
決して自分にはなびかない忠犬の存在が、どんなに目障りだったか。
その時の欝憤を晴らすかのように、兎のくせに躾のなってない犬を飼っていたゲルトを何度も、何度も突き上げて執拗に辱める。
「マシュー…やめ……ぁあ」
それでもゲルトの前を慰め、絶頂を促してやるのを忘れなかったのは、同時に駄犬の愉快な末路も思い出したから。
俺が行動を起こす前に自分で忠犬を捨ててくれた飼い兎は、どんな喜劇よりも上質な笑いを提供してくれた。

「っはは、ははははは…」
思い出し笑いを止められず、楽しいのか憎たらしいのかよく分からない。
もしかしたら、月の光に狂わされたのかもしれない。
それでも兎の鳴き声とゲルトの泣き声が、体の繋がりと共に俺を満たし、記憶が飛びそうなテンションの中で、全てを弾けさせた。



軽い自己嫌悪。
ベッドに放り出されたゲルトの体を目の保養にしながら、自分でも珍しく後悔に苛まれていた。
こいつは俺のペットであると同時に大事な“商品”なのだ。
腕の立つレーサーならある程度いるが、誰よりも速く、誰よりもバイクを愛し、なおかつ見た目と所作に気品を感じさせる奴なんてそうはいない。
チームにとって最高の金づる。
だから遊ぶにせよいじめるにせよ、壊さないよう匙加減には気を付けなければいけない。
「やりすぎたかな…」
これも全てあの駄犬のせいと、自分に言い聞かせ……
「マシュー…」
「ん?」
ゲルトが熱の抜け切らない声で話し掛けてくる。
「何か…嫌な事でもあったのか」
「…」
そうだ。
すっかり忘れていたが、ここに呼び出した表向きの理由は「お前に相談したい事がある」だった。
「悩みがあるなら、俺に出来る事があるなら力になるから、一人で抱え込まない方がいい…」
「………」
「マシュー…?」

………やばい。
さっきあれだけ笑ったのに、まだ笑い足りないのか俺は。
いや、違う。こいつの状況把握能力のなさが悪いんだ。俺は悪くない。俺は……
「くっ、ふふ……あっははははははははははは」
「マシュー?!」
そうだ。
こいつは初めて会った時からそうだった。
バイクに乗ってる時は獲物を狙う狩人の目をしているのに、バイクから離れればどこまでも素直でお人好しの天然で。
いつもこちらの言動に簡単に騙されてくれて。
自分が飼われてる事にすら気付かない……
「だ、大丈夫か、マシュー!?」
「ああ、悪い悪い。やっぱりゲルトといると些細な悩みは吹っ飛ぶなと思って安心したんだ」
「…よく分からないが、解決したのならそれでよかった」
「さて、それじゃあ」
体を起こしたゲルトに抱きつき、ほのかに金色に輝く髪から覗く耳を甘噛みする。
「おい、何を!?」
「さっき自分で言ったばっかりだろ。俺に出来る事があるなら力になるって」
「もういいんじゃないのか!?」
「もう少し力になってくれてもいいだろう。大丈夫、今度は手荒な真似はしないって」


そう、夜はまだまだこれからなんだ。楽しませてくれよ。

俺たちの―――
いや、俺だけのかわいいうさぎちゃん。

[245] 独逸超人 (2008/09/27 Sat 04:53)

[245] 【摩周×白】夜兎戯(YOTOGI) 独逸超人 2008/09/27 Sat 04:53res
┗[246] 初体験 独逸超人 2008/09/27 Sat 04:55
┗[247] Re^2: 【摩周×白】夜兎戯(YOTOGI) wald 2008/09/27 Sat 11:28
┗[248] 真白 ユーハイム 2008/09/27 Sat 15:42
┗[251] おお〜! null 2008/09/27 Sat 22:22
┗[252] Re^5: 【摩周×白】夜兎戯(YOTOGI) G779 2008/09/28 Sun 00:43
┗[254] Re^6: 【摩周×白】夜兎戯(YOTOGI) はなげさん 2008/09/29 Mon 01:00
┗[255] ありがとうございます 独逸超人 2008/10/01 Wed 23:40