【白×赤】交通機動隊はいるまでを10と考えると2.5位の話(謎)

ゲルトは英雄、ヘルマンは漢、ポエム嫌い=>即刻退避。
絵描きの文なのでレベルがアレな感じなのもご容赦。
そしてむしろ読んでる人への羞恥プレイ。

あと、シャワーシーンネタということで某様とかぶってしまっている事を深く反省しつつ、懺悔のつもりであぷします。
ご迷惑おかけしました〜。
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表彰台に上がる度によく聞かれるお定まりの言葉がある。


何がしたいか?
何が欲しいか?
誰に伝えたいか?

陳腐に繰り返されるこれらの問いかけに、真面目に答えなくなったのはいつからか。

正直答えに困る。

いつからそう思うようになったのか、今でははっきりとは覚えていない。





「いい加減にしろよ、ゲルト」
「何がだ?」

夜半、居残りで偶然ハチ合わせた青年を狭いタイル張りのシャワー室に連れ込み、所謂情事へともつれ込んで既に15分が過ぎていた。

他のメンバーは数人を残して大半が帰宅し、既に事務所は静けさを取り戻している。
嫌がる素振りの彼をいなしながら肌に触れるのに必要以上の時間を費やしたのは、ここの所の遠征でスレ違いが多かった為だ。
人目を避けて二人になれたのもつい先ほどの事で、更に、明日からまた始まる遠征で、またしばらく会えなくなる事もわかっていた。

言い訳をするつもりもないが、そういった理由で自分としては呆れる程性急に誘いをかけた事には間違いはない。

「……嫌だって」

服をはぎ取られ、シャワーブースに押し込まれても尚、この後訪れる行為を暗に拒否する姿勢は珍しく、神経質なまでに頑だ。

「今更だろう?」

腰に腕をまわして巧みに壁際へ追いつめながら耳元に囁くと、青年の肩がひくりと持ち上がる。
試しに舌を延ばし、届く距離にあった耳朶の淵を舐めると、小さな吐息が漏れた。

これは拒否ではない、と経験が語りかける。

それに本気で嫌がっていれば、有無を言わさず無駄に器用な足裁きでとうに蹴り倒されている。

「……」
「ヘルマン」
「……」
「……」

応えを促すように廻した腕で背を撫で上げると、背けた唇がぽつりと言葉を漏らす。

「……だって、あんた、すぐ中に出したがるじゃないか」

何もこんな場所でわざわざ今、と横を向いたまま更に不満げにボソボソと続ける彼の視線は泳いでいる。
完全に無人となったわけではないここで行為に及ぶのに抵抗がある等という、まるで生娘のような物言いに笑いがこみあげる。

行為ではなく場所を否定する辺りが、いかにも生真面目な彼らしい。

「気にすることじゃないだろう?孕むわけでもあるまいに」

年に似合わない少々幼い物言いを揶揄するように軽口を叩くと、かけた言葉に呼応するように弓なりの眉が吊り上がる。
すかさず飛んで来た拳と捕らえる手で無駄な攻防戦を繰り広げながら、更に含み笑う。

「アンタはいいだろうがな…!」

こちらの抑えが効かなくなるとどうなるかをよく知っているだけに、今の彼は必死だった。
以前、少々の諍いも悪さして酷くしてしまった後、出先に愛車を置き去りにして帰らざるを得なかったことがある。

ましてや、明日から今度は彼がマシン調整がてらの地方遠征で、今日は是が非でも準備の為に帰宅せねばならない。
己が別の仕事と重なっている事もあり、代打とは言え、これが彼にとって初めてトップで走ることになる大事なレースだ。

心持ち上気した頬を隠しもせずに吠える青年の腕をようやくの事で掴んで引き寄せると、噛み付く程に顔を近づけて、くるくるとよく動く薄い紫の瞳を覗きこむ。

「丁重に送ってやるさ」

唇が触れ合う程の近さでそう言うと、齧りつくような勢いで青年が吼えた。

「…お断りだ!」

既に丸裸にされておきながら高潮させた頬でまだ憎まれ口を叩く唇を笑いながらそのまま塞いで、しばし息を奪う。






最初は酒の勢いとか、そんなものだったと思う。

互いの性癖も確認せずに雪崩込んだベットの中で初めて抱いた男は、翌朝の多少きまずい言い訳の応酬を除いては、何の違和感もなく自分を受け入れた。

その後もだらだらと関係は続き、もう一月余りになるか。

[182] ヘタレ班長 (2008/09/15 Mon 08:04)


Re: 【白×赤】交通機動隊はいるまでを10と考えると2.5位の話(謎)

肌の馴染んだ女と同様のあの纏わりつく感覚を覚えることもなく、普段の彼はまるで長年苦楽を共にしてきた友人のようにさらりとしていて明るく、側にいるのが当たり前のように不思議と馴染んだ。
感情表現の薄い自分と違い、年の割にたわいもない事によく驚き、喜び、憤る姿が目に新しかったのもある。

よくも悪くも素直なのだ。

その素直さは行為の最中の反応の良さにも表れる。

見つめれば見つめ返す。
言葉を投げれば応える。
触れれば応えて受け入れる。

思えばそんな当たり前の反応が、何故か自分にはとても好ましいものに思えた。


逃げ回るスペースのない個室で立ったまま性急に繋がると、青年は体勢がつらいのか、ためらいなく首に腕を廻してしがみついてきた。
縋り付くようにも見える左腕の内側の柔らかい肌を吸って跡をつける行為を何度も繰り返すと、青年はぶるりと震えて左腕を下ろしてしまう。

「存外可愛いな、ヘルマン。」

そこは苦手なのだ、と暗に示す行動を揶揄する。
面白いように反応を返す体は躊躇という言葉を知らない。

「野郎に可愛いとか…アンタ、頭おかしい…んじゃないのか。」

慣れる隙も与えられず絶え間なく擦り上げられる内部の刺激に耐えるのが精一杯なのか、青年は荒い息で漏らす。

「そうなんだから仕方ないだろう?」
己の与える動きで絶えず揺らぐ瞳を見つめながら耳元で低く囁くと、即座に頬を染めた青年に憎まれ口を叩かれた。

「…ばっかじゃねぇの……」

吐き出す様にうわずった声を上げる青年の柔らかい肉壁を更に掻き回す。

廻して突いて擦り上げる。

その度に漏れる声が切なげに後を引く。
特に弱いとわかっている場所に何度も己を押し付けると、青年は一層強くしがみついて名を呼び上げる。
次第に高くなる声は薄いタイル張りの個室に反響し、己の欲情を一層駆り立てた。

「…声、外に漏れるぞ」

返事を期待し、ゆるゆると責め上げる。
青年は反射的に口を開いて漏らそうとした言葉を飲み込み、ゴツリとタイルに後頭部を当てながら泣きそうな声でうなりを上げた。

「………だったら塞げよ!」

声なく笑いながら求めに応じて舌を絡める。
息衝く間を惜しむように何度も食んでは離すを繰り返すと、それでも吐息の合間から漏れる声を恐れてか、青年が伸ばした後ろ手でシャワーのバルブを強く捻った。

不意に勢いよく肌を打つ暖かい雨。

肌を打つそれらも、すすり上げるような声も、絡みついて離さない青年の中も、そのどれもが堪らなく心地いい。




時折思う。

この関係は何なのか?

互いの気持ちなど確かめたことはない。
いわば、これはなりゆきの行為だ。
手を出してみたら、拒否されなかった、ただそれだけのことだ。

「…もう嫌だ……」

何度も揺すり上げられ、焦らされた腰がカクリと落ちる。
尻を掴んでそれを留めながら尚も壁に縫い止めて奥まで押し込むと、青年が一層高い声をあげる。

「ヘルマン…」

目を閉じて快楽に必死に耐える目元から生理的な涙が溢れ落ちる。
自ら絡めた腕を解いて相手の両の肩口を押しやると、青年が顔を背けて苦しげに呟く。

「おかしくなっちまう…」
「なればいいさ」
「嫌だ……!」

極まる度に嫌だ嫌だと口先だけで拒絶する彼の言葉は聞かない事にしている。
突き上げる度に絡めとり、名残惜しそうに絡み付いてくる彼の内部の方がよほど従順だからだ。

結局の所、男としての性衝動に明確な理由等必要ない。
だからこんな関係でも続けていける。

「こっちを見るんだ」

不意に思い立って腰の動きを止め、わざと耳に口づけながら低い声で囁く。

「イヤ…だ……」

震える声で拒絶する青年の耳朶を何度も甘噛みながら、合間に何度も名を読んで呼んで促す。

「ヘルマン」
「……」
「……」
「……」

漸く諦めたのか、ノロノロと頭を上げた青年と目が合った。
欲情に緩んでいる筈の瞳が、透明なガラス玉のようにまっすぐ自分に向けられる。

その、澄んだ紫に、口の端を歪めて笑う男の顔が映る。

「……」

まるで、情事の最中とは思えない程、切羽詰まった泣きそうに酷い顔の自分に笑いがこみ上げた。

「……ゲルト?」

地位も名声も金もあり、女ですら、すぐ手に入る。
そんな自分が何て顔で男を責めているのか。

…まさかこの繋がりに何かを求めているというのか?



不意に己を悩ませる問いが頭をもたげる。

何がしたいか?
何が欲しいか?
誰に伝えたいか?

それは己の生き方に対する問いそのものだ。

頂点に上り詰め、欲しいものは何でも揃って、その次は?
何度も繰り返されるその問いへの答えはいつのまにか忘却の彼方へ霧散してしまって、今は形を成さない。

一体いつから何を掛け違ってしまったのか…。



「……欲しいからしてるんだ、俺は。」

不意に酷い枯渇感に襲われ、青年の首元に顔を埋めてくぐもったつぶやきを漏らす。
何が、とか、何を、という言葉はやはり浮かばない。

ただ、満たされない何かが、とても欲しかった。

「……」

「欲しいんだ。」

主語の欠けた言葉は青年にとって何の意味も成さないだろう。
何度も呪文のように繰り返す言葉はただ虚しく、肌に刺さる水音に掻き消されていく。

「訳わかんねぇこと、連呼すんな…」
「ヘルマン…」

預けた片足を相手の腰に巻き付けながら、青年が再び首へ腕をまわしてしがみついてくる。
そのままらしくない触れるだけのキスを唇へ返し、喉元に額を擦り付ける。

「いいから早く出しちまえ、バカ野郎…」



ちかちかと切れかけた電灯の点滅が霞のかかった視界の先にぼんやりと映り込む。

肌が痺れる程に打ち付ける熱いシャワーの雨とむせ返るような白い湯気の中、時折泣き出しそうな声はもはや相手の名さえ紡ぐ事が出来ない。
遠慮なく立てられた爪に傷つけられた肩口に湯が染み入ることすら、気持ちのよいものに思えてくるから不思議だ。

そして自ら片足を絡ませ、あられもない格好で股を開き、己に縋り付く青年の姿は喩えようもない淫らな光景だった。

「…なぁ……」

絶え絶えの様相で肩に額を預けた青年の耳元で囁く。

「………誰かに見せつけたい位、ひどい格好だな」

自嘲めいた含み笑いを含んだその言葉を聞いているのか聞いていないのか、青年は己に訪れているさざ波のような快楽の海の中で弱々しく首を揺らすだけで、何も答えをくれない。

世界から隔絶されたような白いもやの中、高みに追い立てる動きと互いに交わす急いた息づかいだけが彩りを添える。



やがて訪れる絶頂の中で、ゲルトは再び自分に問いかける。

手に入れたもの。

手に入れたいもの。
手に入らないもの。

捉えどころのない水の乾きに限りなく近いそれら。

…欲しいものなど、本当はもう幾ばくもない筈なのに。
なのに、リアルに喉がひりつくほど渇く、その正体がわからない。


預けられた青年の頭部を覆う、しとどに濡れて深みを帯びた赤い髪を首元から掻き上げる。

暖められたそれらをかき寄せるようにして唇を押しつけると、ゲルトは何かを祈るように固く目を閉じた。












「今日こそはOK出してくれよ」

ペーパーバックの端を一枚ずつ丁寧にめくりながら眺める自分に男がしびれを切らした様にそう言う。

チームの広報活動の一環を兼ねた外回りに出たはいいが、金を出し渋るスポンサーと、情報を取りたがるメーカーの間をいったりきたりが続き、既に滞在は一週間を超そうとしている。

[183] ヘタレ班長 (2008/09/15 Mon 08:05)


Re^2: 【白×赤】交通機動隊はいるまでを10と考えると2.5位の話(謎)

本来自分が出て行く必要のない場に相手のたっての依頼で出て行けば、パーティーだのなんだのと引っ張り回され、肝心の交渉は先に進まないまま、期限の今日を迎えていた。

退屈な待機の合間を外出で過ごすのにも飽きて、呼ばれて出る以外はホテルに篭って三日目になる。

「…それは先方次第だな」
「これが決まれば、帰れるんだから、そこは何とか納得してくれよ」

目の前で朝食のソーセージをほおばりながら訴える男は、のんびりとコーヒーをすするゲルトに、暗にお前も食えと自分の皿を差し出す。

「ここで妥協しても先が思いやられるだけだぞ、マシュー」

お節介な男の皿を手のひらでやんわり押し戻しながら、退屈な紙面に視線を戻す。
ホテルに置いてあったバイクや車に関連する書籍は既にあらかた読みあさってしまい、今朝からは仕方なく陳腐な三文小説に手を伸ばしていた。

好きだの嫌いだの、別れるだの死ぬだのといった単語が上滑りする陳腐な芝居を目で追いながら、ゲルトはふと青年の事を思い出す。

思えば、あの後送っていって、その後連絡を取っていない。



「お…勝ったんだな」

つけっぱなしのテレビの正面で勝手に朝食を取っていた男が声をあげる。

「やるじゃないか、ヘルマンの奴も」

名に反応して顔を上げると、画面一杯に青年が遠征に出かけたレースの様子が映し出されていた。
どうやらぶっちぎりで勝利したらしいことが興奮した解説者の口調で見てとれる。

「車体の方は順調な仕上がりみたいだな」

ゲルトの顔が自然と顔が綻ぶ。
今回テストに使われた車体は次に自分にも使われるものだから当然だ。

「さて、時間だゲルト、いくぞ」
「あぁ」

そろそろこの憂鬱な外回りの最終ステージだった。
今日決まれば、これで帰れる。

そう思うと、少しだけ気が晴れた。


ゲルトは読みさしのペーパーバックをベットの上へ放ると、身だしなみを整える為にレストルームへ向かった。
髪を撫で付け、準備が整うと、ワードロープから上着を取りだして袖を通す。



『…走りたい』

聞き慣れた声が耳を打つ。
発せられたその声に眉を寄せてテレビの前に戻ると、いつのまにか舞台は表彰台の上に切り替わっていた。

画面の中には数日前別れたばかりの見慣れた顔が喜びに輝いている。
白い花束を受け取った青年は、ありがとう、と答え、小さなカップを携えた若い女性と軽く抱擁を交わした後、更に続ける。


『ただ、走りたいです』


マイクが拾うその言葉が、お定まりのインタビューへの答えであることに気づくのに、少し時間がかかった。

面食らったインタビュアーが黙ってしまうのと同時に、画面がカメラのフラッシュで真っ白に染まり、まばゆい光に青年の姿が掻き消える。



「………………」



「どうした?」

ブツリという音と共に男の手でテレビの電源が切られ、そこで漸く、白くなるまで拳を握りしめていた事に気づいた。



「……何でもない」

これは青年の思う、彼の望みだ。
自分には関係ない。

なのに、受け止めた己の腹の底が重くなるようなこの物狂おしさは何だ。
胸の奥を掴み締められたような、そんな痛みが指先まで駆け巡るこの気持ちを表す言葉なんて、俺は知らない。


ゲルトは握りしめた拳を緩めながら、己の手に残る自らの爪の跡を確認する。

同じ様に青年から己の体につけられた爪の跡は既に癒え、消えてしまってもうない。

「………………」


今はただ、会いたい。

酷く青年に会いたいと、そう思った。




<終>


ゲルト壊れててすみません…

[184] ヘタレ班長 (2008/09/15 Mon 08:06)


Re^3: 【白×赤】交通機動隊はいるまでを10と考えると2.5位の話(謎)

呼ばれました。はなげです。

いや〜シャワーはいいですよね。
素敵アイテムです。
もっとみんな、いろいろなシャワーシーンを書けばいいと思います!XAT隊とか、マジ風呂とかどうしてんですか?え?水浴びか?のジョセフさんとか。

大人になってしまったゲルトが、青年のヘルマンの眩しさに焦がれるのは、当然至極のことと思われます。
そこに萌えました。

[185] はなげさん (2008/09/15 Mon 15:18)


ヘルマンッ

逃げてー、ちょー逃げて〜〜〜
このゲルトに捕まると、鬼畜展開行きそうな気配がびんびんしてます。「親友に会いたいです」とでも答えておけば問題無かったんだろうに……
続きが気になっちゃうお!

レーサー時代は色々妄想盛り上がりますよねw

[186] イーゴ (2008/09/15 Mon 18:17)


ありがとうございます〜

>>はなげさん
いやいや、いろいろと失礼いたしました・・・

で、風呂はやはりXATはシャワールーム方式、ジョセフは拭いてるか水浴びか・・・・(笑)
ザーギン様は風呂自体いらなそうな気がします(普段から無駄にバラの香りとかしそう)

ゲルトの精神状態が未整理状態なとこを書こうかな、と思ってたので多分書いてる私も未整理(死)のままなので、かきづらい奴に感想くれてありがとうございました・・・。

>>イーゴ姐
ゲルトファンが2km位引くって感じですよね、わかります(死)。
赤白赤王道ルートは他の方が書かれている&書かれるだろうと思っているので、おいらは敢えて邪道ルートへ・・・(ヤメレ)
この駄目白さん、比較的まともと思われる(自分の中の)赤白赤ルートとは別枠でかなり明確な脳内年表が存在してたりして、たまに妄想が暴走して困るんですが、ここで続き書いていいかどうか正直迷うヨ・・・(笑)
ま、書いちまったら空気読まずにうぷしちゃいそうだけど・・・KYが身上なので!(えっ)

[195] ヘタレ班長 (2008/09/16 Tue 10:43)